「無」という言葉には,どこか心を引きつけるものがあるのではないでしょうか。本書は,そんな魅力的な響きをもつ「無」を追求する一冊です。 まず取り上げるのが,数の無といえる「ゼロ」。その発見から成立までには長い歴史がありました。つづいては「真空」について。現代物理学によれば,真空はただの「空っぽの空間」などではないといいます。 さらに,最先端の理論物理学では,空間や時間さえ存在しない「究極の無」にもせまろうとしています。無の探究の歴史は,物理学の発展の歴史そのものでもあるのです。 私たちの住む「有」の世界を鮮明にえがきだす「無」。そのおどろくべき正体に,じっくりとせまっていきましょう。
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