生命とは何か─このシンプルで,かつ,深淵な問いは,古くから多くの人々の好奇心をかき立ててきました。分子などの無生物からどのようにして生物が誕生したのでしょうか。無生物と生物は何をもって分けられるのでしょうか。また,地球以外の場所にも生物はいるのでしょうか……。興味がつきません。 本書は生命に関するこうした素朴な疑問にやさしく答えるとともに,生命への探求から生まれた先端科学技術の数々を紹介した一冊です。第1章「物質と生命」では,生命の基本的な性質や生命の起源,地球外生命探査などについてみていきます。つづく第2章「情報と生命」では,生命が「情報をもち進化する」という点に着目し,生命の遺伝情報や進化のしくみ,そして,そこから生まれたさまざまな先端科学技術を紹介します。 生命は単独では生きられず,環境と密接に関係しています。第3章「環境と生命」では,生命と環境とのかかわりについて解説します。生態系がもつ防災面での役割や,培養肉研究,「バイオものづくり」の最前線などについてみていきます。第4章「社会と生命」では,人と科学技術とのかかわりについて紹介します。人間と“対話”をするように文章などを生みだす人工知能は,私たちに恩恵をもたらしてくれる一方で,いつか人工知能に制御される日が訪れるのではないか,という不安も抱かせます。この章では,進化をつづける科学技術とどう向き合っていくのかを考えていきます。 本書の制作にあたり,総勢39名もの専門家の方々に執筆と監修のご協力をいただきました。生命に関する知識を総アップデートできる一冊となっていますので,興味のある方はぜひお手に取ってご覧ください。
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