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ニュートン別冊 認知症の教科書

ニュートン別冊

認知症の教科書

 

科学的に正しい認知症と
老いとのつきあい方

認知症の教科書
 
 
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ISBN978-4-315-52711-7
A4変型判並製/カラー4色刷/144 ページ
発行年月日:2023/06/30
定価:1780 円(税込)

 

 

 「認知症」とは,さまざまな脳の病気によって,ニューロン(神経細胞)のはたらきが徐々に衰えて,記憶や判断力などの認知機能が低下し,日常生活に支障をきたした状態のことをいいます。高齢化が先進国の中でもっとも速く進んでいる日本では認知症にかかる高齢者がふえています。

 厚生労働省の調べでは,2012年では認知症の患者は462万人で,65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症ということになります。推計では2025年には約700万人の人が認知症となり,65歳以上の高齢者の5人に1人の割合になると考えられています。認知症は高齢になれば誰もがなりうる病気で認知症への対策が注目を集めています。
 認知症の約7割はアルツハイマー型認知症とよばれるものです。これは本誌の表紙にみられるように脳のニューロンが減り,脳が小さく萎縮することで症状があらわれる病気です。その原因はアミロイドβベータとよばれるタンパク質がニューロンにたまることでひきおこされます。近年ではこの病気の病理学的な分析が進むことで,ニューロンにアミロイドβがたまる症状が40歳後半ぐらいからおきていることがわかってきました。同時にアミロイドβの蓄積が生活習慣や食事内容とも密接にかかわっていることもわかったことから,早い時期からの予防が推奨されています。一方,認知症を克服するための治療薬も開発されています。これまで抗体治療薬の開発ではなかなか効果が得られませんでしたが,早期治療を開発目標とすることで,バイオジェン社とエーザイ社が「レカネマブ」の開発に成功。2023年1月6日にアメリカ食品医薬品局(FDA)が迅速承認したことで,期待が高まっています。
 認知症は原因も含めてまだまだ解明されていないところが多い病気です。本書では認知症が発症するしくみや認知症の発症をなるべく遅らせるための予防法,食事法などについて最新研究を紹介してしていきます。

 

CONTENTS

  • 1 認知症から見える脳のしくみ
    アルツハイマー病とは?
    アルツハイマー病と認知症
    認知症の症状
    認知症発症の兆候
    記憶のしくみ
    場所細胞とグリッド細胞
    嗅覚と認知症
    原因①アミロイドβの蓄積
    原因②タウの蓄積
    原因③炎症反応
    原因④遺伝子変異
    APOE4遺伝子とアルツハイマー病
    APOE遺伝子の世界分布
    APOE遺伝子の進化
    APOE4遺伝子とペプチド類
    現在の治療薬
    抗アミロイドβ抗体①〜③
    創薬研究
    早期診断・早期治療①〜②
     
    2 腸内細菌叢と認知症
    腸脳相関
    常在菌マップ
    腸内細菌と肥満
    認知症と腸内細菌
    認知症と腸内細菌叢
    抗生物質と腸内細菌
    抗生物質と認知症
    糖尿病と認知症
    IBDと認知症
    IBDと睡眠障害
    便秘とパーキンソン病
    腸内細菌と免疫
    腸内環境のととのえ方
    百寿者と腸内細菌叢
    腸内細菌と短鎖脂肪酸
    認知症を防ぐ食物繊維量
    水溶性食物繊維と認知症
    認知症とビフィズス菌
    column 1 不安行動を生み出す
    腸内細菌代謝物を特定
     
  • 3 体と老化
    老化の特徴
    細胞の老化
    幹細胞の老化
    骨と筋肉の老化
    筋線維組成
    百寿者の筋肉
    筋肉と結合組織
    目と耳の老化
    歯周病
    歯周病と全身の病気
     
    4 脳寿命を伸ばす生き方
    認知症の病理学的分析
    SCDとMCI
    早期介入①〜③
    認知症の危険因子
    聴力低下と認知症
    運動不足の解消①〜②
    睡眠不足の解消①〜②
    ゲームで脳を鍛える
    column 2 大人の海馬でもニューロンは再生する
    column 3 海馬に新生ニューロンを育むフィジカル・アクティビティ
     

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