「微分・積分」を高校で学んだ方も多いでしょう。しかし,内容をすっかり忘れてしまい,「dy/dx」や「∫」といった記号だけは何となくおぼえているという人もいるかもしれません。いったい,微分・積分とは何なのでしょうか? 微分・積分を端的に説明すれば,それは「変化」を計算するための数学ということになります。位置の変化,速度の変化,株価の変化など,さまざまな変化を計算するときに微分・積分はとても役に立つのです。それどころか,不可欠といってもよいでしょう。 本書はそんな微分・積分をわかりやすく解説した一冊です。まず1章では,知識“ゼロ”からでも楽しく読み進められるよう,微分・積分のエッセンスをやさしく解説しています。 つづく2章では,“ゼロ”を切り口に,微分・積分とは何かをあらためて考えます。先ほど,微分・積分は変化を計算する数学といいましたが,実は,「0(ゼロ)」と「無限」の“正しいあつかい方”を示してくれた数学でもあるのです。 3章では,この微分・積分が生まれ,「微積分学」として一つの学問にまとまるまでの歴史を追います。一見すると複雑な微分・積分の記号や計算方法に秘められた,「意味」や「威力」が,さらに実感できるでしょう。 最後の4章は応用編として,微分・積分の計算問題に実際に取り組みます。また,物理学や金融工学と行った幅広い分野で,微分・積分がどのように役立っているかを紹介します。 本書は,好評いただいたNewton別冊『微分と積分 改訂第2版』(2020年刊行)の改訂版です。異なる切り口を導入することで,よりわかりやすく理解できる内容に改訂しました。むずかしい数学の代名詞のようにいわれることもある微分・積分ですが,この本をきっかけに,身近に感じていただければ幸いです。
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