かつて,フランスの数学者デカルトが,その存在を認めず「想像上の数」とよんだ奇妙な数,それが「虚数」です。プラスの数もマイナスの数も,2乗する(2回かける)と必ずプラスになるはずです。ところが虚数は「2乗するとマイナスになる」のです! 虚数がなければ,数の世界は不完全なままになってしまいます。存在が認められるまでに長い時間がかかった虚数も,現代では高校でも学ばれる重要な概念です。数学の世界だけではなく,「量子力学」でも,虚数はなくてはならない存在です。量子コンピューターも,虚数があってこそ実現したといえるのです。 本書は,虚数や複素数についてくわしく解説するとともに,虚数に至るまでの人類と数の歴史も紹介しています。虚数の不思議な世界を,ぜひお楽しみください。
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