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宇宙天体百科

2019年3月号

今月の星座
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星図の日時

02月01日 23時
02月15日 22時
02月28日 21時
03月15日 20時
03月31日 19時

月の満ち欠け
(星図の月は23時)

01月28日 下弦
02月05日 新月(朔)
02月13日 上弦
02月20日 満月(望)
02月26日 下弦

ケンタウルス座プロキシマ星

渡部潤一 国立天文台副台長

 太陽系に最も近い恒星,それがケンタウルス座の「プロキシマ星」である。太陽系からの距離は4.24光年,言わば“おとなりの星”である。ほぼ同じ距離には,ケンタウルス座アルファ星がある。
 アルファ星は南天の1等星として有名だ。望遠鏡でながめると二つの恒星として見える。約0等級のA星と,それよりやや暗いB星だ。二つの星は,たがいに重力の影響をおよぼしあって公転する「連星」をなしている。二つの星の平均距離は土星と太陽の距離程度の11天文単位(1天文単位は地球と太陽の間の平均距離で,約1億5000万キロメートル)ほどで,80年の周期で公転している。
 プロキシマ星は,その二つの星からずっと遠方にある。距離は1万5000天文単位ほどで,A星とB星のまわりを50万年から100万年の周期で公転していると考えられている。どうやら空間運動を見ると,アルファ星と重力的に結びついた連星らしい。アルファ星の太陽系からの距離は4.4光年で,プロキシマ星のほうがわずかに太陽系に近い。


普段は暗いが,ときには閃光を放つ
 最初は,アルファ星が太陽系に最も近い恒星だと思われていた。しかし,20世紀初頭にイギリスの天文学者ロバート・イネスが,南アフリカのユニオン天文台で,プロキシマ星がアルファ星と同じ固有運動(天球上での位置の移動)をしていることを発見した。その後,これらの星が連星をなしており,プロキシマ星が太陽系に最も近いことなどがわかった。
 それだけ近いにもかかわらず,みかけの明るさが11等級と暗く,当時見つかっていた恒星の中で,最も暗いレベルだった。理由は,直径が太陽の約7分の1と小さく,表面温度が3000度と低いからだ。表面温度で星を分類する「スペクトル型」では,「M型星」の赤色矮星とされている。  さらに面白いのは,プロキシマ星がしばしば,突発的に増光することだ。「フレア・スター(閃光星)」とよばれ,磁場の影響で明るさが10倍にも100倍にもふくれあがる。


地球に似た惑星に生命の可能性も?
 おどろくべきことに,プロキシマ星には地球の質量の1.3倍ほどの岩石型惑星「プロキシマ星b」が存在している。恒星からわずか約750万キロメートルという至近距離を,11.2日という短い周期で公転している。
 これだけ恒星に近いと,太陽の場合だときわめて高温になってしまう。しかし,プロキシマ星の表面温度は低いので,近いほうがちょうどよい。プロキシマbは生命の誕生に適した「ハビタブルゾーン」にあるのだ。
 表面に大気があれば,海がある可能性が高く,生命の誕生に適した環境かもしれない。ただ,楽観的になってばかりはいられない。プロキシマ星が閃光を放つときに発する強烈な紫外線やX線が,惑星から大気を奪いとってしまっているかもしれないのだ。
 また,大気があったとしても地球とはかなり性質がことなるだろう。これだけ恒星に近い惑星だと,恒星からの重力の影響が強く,自転と公転の周期が一致している可能性が高いからだ。すなわち,地球をまわる月のように,つねに同じ面を恒星に向けた状態である。すると,恒星の光が当たる半球はつねに暖かく,裏側はつねに寒くなる。半分は凍り,半分には海がある。そんなようすが「目玉」のように見えることから,こうした惑星を「アイボール・アース」とよぶことがある。プロキシマbもアイボール・アースかもしれない。
 生命が育まれているかどうかは議論が分かれるところであるが,最も近い恒星のまわりに,地球に似た惑星があるとすれば,ロマンをかき立てられずにはいられない。

2月の星ごよみ

●1日 金星と月の接近

明け方の東の空で,明けの明星・金星と月齢25.8の細い月が接近する。

●4日 立春

まだ寒さがつづくが,太陽の黄経が315度になる立春をむかえる。

●18日 金星と土星が接近

明け方の南東の空で,明けの明星・金星が土星に1度まで近づく。

19日 スーパームーン

午後6時すぎに月が35万7000キロメートルまで地球に近づき,日付が変わるころに満月をむかえて,今年の満月で最も近い,いわゆるスーパームーンとなる。

●27日 水星の東方最大離角

水星が太陽から東へ18.1度ほどはなれ,日没後の西の地平線低くで,マイナス0.4等で輝く。