三角形や四角形,円や球など,私たちが暮らす空間には,さまざまな「形」があふれています。このような空間や形の性質を研究する学問を「幾何学」といいます。 幾何学の誕生は,古代エジプトにさかのぼります。当時は土地の広さに応じて税金がかけられており,農民たちは土地を正確に計測する必要がありました。そこで,土地を正確かつ迅速に測量する知識として誕生したのが,「土地・地球(Geo)を測る(Metry)」学問,幾何学(Geometry)だったのです。そして,紀元前300年ごろ,数学者ユークリッドが,この知識を『原論』にまとめ,体系化しました。これが「ユークリッド幾何学」として,現在の幾何学の土台となりました。 ユークリッド幾何学は平面についての幾何学でしたが,やがて平面では通用しないルールが発見されました。こうして,平面での常識をこえた「非ユークリッド幾何学」が発展していきました。非ユークリッド幾何学は,たとえば「宇宙の形」にせまる最先端の物理学の土台ともなっています。 また,幾何学は,建築や芸術の世界にも登場します。サグラダ・ファミリアの設計で知られる建築家アントニ・ガウディは,「カテナリー曲線」を建築物に多用しました。また,「モナ=リザ」で知られるレオナルド・ダ・ヴィンチは,「黄金比」を作品に取り入たことが知られています。そしてこの黄金比は,植物などの形にも見ることができるのです。 本書は,さまざまな形や,形にまつわる数についての講義です。本書を読めば,見慣れた形にひそむ思いがけない神秘に触れることができるでしょう。どうぞお楽しみください! |