自然界の謎を解き明かすために,物理学者たちは古くから,さまざまな努力を積み重ねてきました。彼らの目標は,宇宙のあらゆる現象を統一的に説明する理論を完成させることです。そして,この「究極の理論」の有力候補として注目されているのが,本書で紹介する「超ひも理論」です。 すべての物質を分解していくと,「素粒子」に行き着きます。素粒子はそれ以上分けることのできない,最も小さな部品です。物理学では従来,素粒子は「点」であると考えられてきました。しかし超ひも理論では,素粒子の正体は「点」ではなく「ひも」であると考えるのです。たとえば現在の物理学では,宇宙のはじまりについて計算しようとすると,途中で「無限大」が生じ,計算不能におちいってしまいます。しかし素粒子をひもだと考えると,無限大の問題を回避することができ,宇宙がどのように誕生したのか,解明できるかもしれないのです。 この不思議なひもは,常識では考えられない特徴をもっています。「大きさはゼロ」,「1秒間に10⁴²回振動している」……。それだけではありません。ひもが存在するには,空間は9次元でなくてはならないといいます。さらに,私たちが暮らす3次元空間は,実はひもが膜状になったもの(ブレーン)であり,もっと高次元のブレーンの中に浮かんでいる可能性があるというのです! 本書は,まるでSFのような「超ひも理論」についてのニュートン先生の講義です。この本を読めば,この最先端の物理理論の面白さに触れることができるでしょう。ニュートン先生の楽しい超ひも理論の講義を,どうぞお楽しみください。 |