スザンヌ・シュミット(著),岡本祐子(監修),寺田容子,青山 薫(翻訳)
女性は生涯を通してどのように「発達」し,アイデンティティを形成し,自己実現を果たすのか? アメリカのフェミニズム/ジェンダー史をひもときながら,発達論や女性の生き方に鋭く切り込んでいく一冊です。登場する主人公の一人,ゲイル・シーヒーは1970年代に活躍したジャーナリストで,「中年の危機」という言葉を一般に広めた人物として知られています。 シーヒーを始めとするフェミニストたちの活躍,また,その過程で学術界や男性の学者たちはどう反応し,どのようにジェンダーの概念が進化していったのか,エリクソンをはじめ男性だけを対象としてきた発達理論を180度転回させた偉業にも迫りながら,その生き方,名言,行動を通して,女性が輝くためのヒントを見つけていける一冊です。
第1章 はじめに 第2章 男性の老化と女性の老化は違うのか 1 男性の転換期,女性の転換期 2 更年期用語の誕生 3 中年期は「人生の最盛期」 4 女性の新たな可能性 5 女性よ,大志を抱け 第3章 フェミニズムの視点から「中年の危機」を見る 1 女性の記者が活躍した1970年代のニューヨーク 2 科学とジャーナリズムが出合うとき 3 男性中心主義の心理学と精神分析学との闘い 4 発達段階理論の功罪 5 フェミニスト vs. エリクソン 6 ピラミッド型社会とダイヤモンド型社会 7 「男性は洗濯をしなさい」 第4章 1976年の夏に最も売れた本 1 盗作疑惑が物語る女性差別 2 読者と同じ目線に立つことの大切さ 3 フェミニズムが脚光を浴びた1970年代 4 『パッセージ』旋風とその影響 5 科学とポップ・サイエンス 6 フェミニズムとナルシシズム
第5章 心理学から見た「男らしさ」の危機 1 プレイボーイの精神を分析する 2 「第二の青年期」の不都合な真実 3 男性心理学者たちのたくらみ 4 『パッセージ』の原典 5 「中年の危機」は女性は立入禁止なのか 6 大衆化の裏にあるもの 第6章 フェミニスト,反撃を開始する 1 妊娠中絶の選択と道徳的ジレンマ 2 「もうひとつの声」とは誰の声? 3 行き詰まる個人主義 4 スーパーウーマンにも生活がある 5 変わる女性,変われない男性 6 男性優位論者の抵抗と新たな中年期研究の始まり 7 フェミニズムが遺したもの 第7章 「中年の危機」とは何か 謝辞 出典 引用文献・参考文献