ラメシュ・スリニヴァサン(著),大屋雄裕(監修),田村豪(翻訳)
現代の主要なテーマであるデジタルテクノロジー。その根本を成す,アップル,グーグル,フェイスブックといったIT企業のメッカでもあるシリコンバレーから想起したという本書は,主にハイテク企業によって引き起こされたさまざまな問題について取り上げています。ほんの一握りのテックエリートと呼ばれるIT長者による富の独占。そして,開発者側の偏見が反映されたデジタルにおける人種差別の問題など……。 そういった多種多様な問題を取り上げながら,効率性と公平性,民主主義,多様性の価値とのバランスをとったテクノロジーの例を世界各地から紹介。また,プライバシー保護システム,普遍的なベーシックインカム(基本所得保障),勤務先が変わっても引き継げるポータブルな社会福祉給付,組合の組織化,デジタル協同組合,労働者評議会などのように,あまり広くは確立されていませんが,イノベーションの最先端の例を紹介しています。 私たちの未来が,新しいテクノロジーとともに平等で生きやすいものになるように,との著者の思いが詰まった一冊です。
序章第1部 侵入戦術 追跡され,乗っ取られ,引っ掛けられる 第1章 データの力 第2章 社会契約 第3章 未来の差押え 第4章 断絶と接続 第5章 目に見えない解決策 第2部 政治データゲーム 標的にされ,操作され,動機を与えられる 第6章 すばらしいデジタル新世界 第7章 ケンブリッジ・アナリティカと世界的な偽情報 第8章 偉大なるラディカライザー 第9章 バーニー誕生 第10章 世界のデジタル・ウォーゲーム
第3部 ギグエコノミーのブルース 企業の利益か,それとも人々の賃金か? 第11章 雇用と生活のディスラプション 第12章 仕事と労働者を守る 第13章 一生懸命働き,もっと一生懸命苦闘する 第14章 みんなのためのお金?普遍的ベーシックインカムを探る 第15章 労働者が所有するテクノロジー 第16章 差別のテクノロジー