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| 「背徳」や「やってはいけないこと」の境界線は絶対的なものではなく、時代や社会によって任意に引かれている非常にあいまいなものです。これまでルールを破る行為は、個人の性格や資質の問題として片づけられがちでした。しかし、特別な悪人だけでなくごく普通に暮らす善良な人であっても、ふとした瞬間に魔が差したように一線を越えてしまうのが人間のリアルな姿です。 本書は、こうした「背徳」や「逸脱」を常識という物差しで安易に裁くことはしません。その代わりに、人間が何を基準に悪を判断し、悪いことだと知りながらなぜその境界線を越えてしまうのかという心のメカニズムを解き明かします。背徳的な行動がどのような心理的・環境的要因によって引き起こされるのか、科学的なアプローチから理解することが本書の最大の目的です。 |
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第2章 「わかっちゃいるけど」の科学——日常の逸脱行動と習慣の力 |
| 1 「未来の自分」は他人である——現在バイアスと時間割引 2 意志力は使うと減るのか——決定疲れと「同じ服」の戦略 3 習慣のループ——私たちは考えて動いているわけではない 4 小さな逸脱の連鎖——なぜ「これくらい」が崩壊を招くのか 5 意志ではなく環境を変える——ナッジという発想 |
第3章 認知のゆがみと正当化——⼼理学が解き明かす動機と防衛メカニズム |
| 1 背徳心の正体——自律性を求める本能「心理的リアクタンス」 2 理性の正体——欲望のアクセルとしての側面 3 善良さという名の免罪符——自己イメージと背徳の心理学 4 視線・匿名性・環境がつくる「道徳」の構造 |