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宇宙天体百科

2017年10月号

今月の星座
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星図の日時

09月01日 23時
09月15日 22時
09月30日 21時
10月15日 20時
10月31日 19時

月の満ち欠け
(星図の月は23時)

8月22日 新月(朔)
8月29日 上弦
9月06日 満月(望)
9月13日 下弦
9月20日 新月(朔)

M33 -さんかく座銀河-

渡部潤一 国立天文台副台長

 秋の夜空にひっそりと輝く,さんかく座という小さな星座がある。アンドロメダ,ペルセウス,うお,おひつじの四つの有名な星座に囲まれ,しかも主要な三角形をなす恒星が3等星と4等星なので,それほど目立たないが,周囲に明るい恒星がないために古くから知られている星座である。月明かりも人工灯火もない理想的な暗い夜空で,その三角形から西寄りの場所をながめると,かすかに雲状の天体の存在がわかることがある。さんかく座銀河M33である。
 私たちの住む銀河系が属する局部銀河群を構成する銀河の一つで,銀河系,M31(アンドロメダ銀河) についで大きな渦巻銀河である。その直径は約6万光年と,銀河系の6割ほどである。距離はM31よりも遠く,約300万光年と推定されており,肉眼で見える最も遠い天体といえるだろう。夜空の暗さを判定するのに,このM33が見えるかどうかが一つの基準になっているほどである。

多くの天文学者が観察した
 古くは17世紀半ば,イタリアの天文学者ジョヴァンニ・バッティスタ・ホディエルナ(1597〜1660)による観測記録がある。また,のちの1764年8月末にフランスの天文学者シャルル・メシエ(1730〜1817)が発見し,そのカタログ※の33番目として記載した。ぼんやりとした拡散状の姿にしか見えなかったこともあり,星雲と分類された。イギリスのウィリアム・ハーシェル(1738〜1822)も,同様のカタログを作成し,メシエ天体を注意深くはぶいていたのだが,M33を1784年9月にHV-17としてカタログにのせてしまった。
 M33の渦巻き構造をとらえたのは,19世紀のイギリスの天文学者ロス卿(1800〜1867)であった。いわゆるリバイアサンとよばれる巨大な望遠鏡によって詳細な構造がわかってきたのである。20世紀に入ると,M33には変光星が発見され,エドゥイン・ハッブル(1889〜1953)が35個のセファイド(ケフェウス座デルタ型変光星)を発見し,その明るさから距離を推定し,私たちの銀河系の外にある,独立した銀河であることを明らかにした。

ごく近いフェースオン銀河
 M33は別の意味でも極めて貴重な銀河である。円盤形をしている渦巻銀河の中では,その円盤部が,私たちがながめる視線とほぼ直交していて,円盤全体を広く見渡せる位置関係にある。こうした銀河をフェースオン銀河と呼んでいる。
 M33は典型的なフェースオン銀河で,その渦巻き模様を真上からながめることができるうえに,銀河の中ではきわめて近い。フェースオン銀河はメシエカタログの中にいくつかあるが,M51やM101は2000万光年よりも遠く,M61やM74は3000万光年よりも遠方である。つまり,ほかとくらべてもM33は距離が1桁も異なるほど近いので,その渦巻き構造を詳細に調べることができる。
 また,M33は,銀河としては初となる,視線に直交する方向の固有運動が観測されている。M31に向かって動いているため,M31の伴銀河である可能性も指摘されている。これら二つの銀河間の距離は,私たちの銀河系との距離よりも近い。そして,これらの銀河どうしの重力(潮汐作用)によってつくられたと思われる水素ガスのかたまりなども両者の間にみつかっている。その意味では局部銀河群は,M31とM33のペアに対して,むしろ私たちの銀河系が対峙している形なのかもしれない。

星ごよみ

●9月12日 水星の西方最大離角

水星が太陽の西に18度ほど離れ,夜明け前の東の低空で観察好機

●9月17日 水星と火星の接近

明け方の低空で,水星と火星が3分角(1分角は60分の1度)ほどまで大接近する。右上方には金星も輝いている。

●9月18日 月と金星の接近

月齢27の細い月が,明けの明星・金星に接近する

●9月19日 水星,火星,月の接近

明け方の低空で,日ごとに離れゆく水星と火星の間に,月齢28のきわめて細い月が入りこむ。
低空まで晴れれば,一大天文ショーとなる。

●9月23日 秋分の日

これからどんどん昼の長さが短くなっていく