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宇宙天体百科

2018年2月号

今月の星座
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星図の日時

01月01日 23時
01月15日 22時
01月31日 21時
02月15日 20時
02月28日 19時

月の満ち欠け
(星図の月は23時)

12月26日 上弦
01月02日 満月(望)
01月09日 下弦
01月17日 新月(朔)
01月25日 上弦

南十字星

渡部潤一 国立天文台副台長

 南天の星の代表といえば,なんといっても南十字星である。南半球の少なからぬ国※が,その国旗にあしらうほど有名な星の並びだ。天文学的には「みなみじゅうじ座」と呼ばれ,88星座の中では最も面積の小さな星座である。キリスト教の十字架のような端正な形で四つの明るい星が配置されており,そのうち南端のアルファ星が0.8等,東側のベータ星が1.3等,北端のガンマ星が1.6等,西側のデルタ星が2.8等である。
 これだけ小さな星座に1.5等よりも明るい星が二つもあるからには,目立たないはずはない。かつてリオデジャネイロ市内のホテルに宿泊したとき,屋上のプールで見上げると,大都市の明るい夜空の中でも南十字星が真上に見えて,感激したことがある。
 ちなみに,アルファ星はアクルックス ,ベータ星はミモザ,ガンマ星はガクルックスともよばれている。ガクルックスとアクルックスとを結んで,そのまま南へのばした方向が天の南極となる。そのため,南半球の航海では,南十字星は方位を知る目印とされてきた。
 実は,南十字星は日本でも沖縄本島よりも南であれば,地平線ぎりぎりに見えることがある。沖縄地方にある国立天文台の施設,石垣島天文台まで行くと,南中,つまり最も高度が高くなる時には,アクルックスは地平線から2.7度になり,地平線まで晴れていれば,南十字星全景を見ることができる。初夏から夏には高気圧におおわれ,台風さえこなければ天気も観測条件もよい。しかし,南十字星全景が見える冬から春にかけての時期は,このあたりの天候はあまりよくないことが多く,実際にながめるのは,それほど容易ではない。なお,ガクルックスだけなら四国や九州南部で見えることもある。

南十字星は兄弟?
 アルファ星は約320光年の距離にある,連星である。ベータ星とデルタ星はそれぞれ約350光年,約360光年にあるケフェウス座ベータ型とよばれるタイプの変光星(明るさが変化する星)である。ガンマ星だけが約88光年と,近距離にある恒星である。
 アルファ,ベータ,デルタ星は星団とまではいかないが,ほぼ同じような距離にあることからわかるように,同じ母親(分子雲)から生まれた兄弟星らしい。共に同じような方向に動いており,年齢も近い。こうしたまばらな星のグループは,しばしばO型やB型に分類される若く明るい星を多く含むため,「OBアソシエーション」と呼ばれる。南十字星の三つの星は,「さそりーケンタウルスOBアソシエーション」のメンバーとされており,その年齢は1000万年から2000万年程度と推定される。また,南十字星の内部でも,ツェータ星,ラムダ星,ミュー星は,同じアソシエーションのメンバーと考えられている。

縄文人は南十字星を見ていた
 現在では沖縄以南に行かないと見ることができない南十字星だが,今から2000年ほど前は,東京でも地平線の上に見ることができた。縄文時代には,三内丸山遺跡のある青森でも見えていたはずである。
 というのも,地球の自転軸の向きが恒星空間に対して,こまの首振り運動のように約2万6000年でぐるっと動く,歳差運動をしているためである。その時代には,もちろん南を指し示す機能は失われていたはずだが,縄文の人々が見事な南十字星の姿を見ていたと考えると,なんだかうらやましくもある。
 紀元後になってから,どんどん南に低くなっていき,ついに北半球中緯度の住人の視界からは,消えてしまった。再び日本全土で見えてくるのは,約1万年後以降である。

星ごよみ

●1月2日 水星の西方最大離角 

水星が太陽の東側に,23度ほどはなれ,明け方の東の地平線低くで,マイナス0.3等で輝く。

●1月2日 満月

月が地球に近い場所での満月,いわゆるスーパームーンとなる。今年の1月は31日も満月なので,1か月の間に二度の満月がある。

●1月4日 しぶんぎ座流星群の極大

三大流星群の一つで,天文ファンにとって“仕事”はじめの流星群が,3日深夜から4日にかけて極大となる。今年は満月後の月明かりの邪魔があり,観察条件は悪い。

●1月27日 アルデバラン食

東北北部から北海道では月齢10.3の月に,おうし座の1等星アルデバランが隠される。潜入は札幌で19時前後,出現は20時前になる。全国でも月の南にアルデバランが接近する様子が見られる。。

●1月31日 皆既月食

満月が地球の影に入る皆既月食が起こる。皆既になるのは21時51分から23時8分までで,全国で観察できる。