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月刊科学雑誌 『Newton』
2002年5月号予告
(3月26日発売)
創刊
250号記念大特集
1981年の創刊以来,Newtonは5月号で創刊250号をむかえます。
究極の医療がもたらす
人類200歳時代
「不老長寿」を 実現させる 最先端医療の数々
解読されたヒトゲノム情報を利用した薬の開発や,クローン技術などを利用した人体組織の再生……。これまでは夢にすぎなかったことが,いよいよ現実味をおびて語られはじめた。医療は今まさに大変革のまっただ中にある。やがて人類の寿命は200歳をこえ,古来からの夢であった「不老長寿」が実現するとの推測も出されている。身近な病気から難病に至るまで,最先端の医療はどんなことを可能にするのか。創刊250号を記念し,Newtonが総力をあげてお贈りする大特集にご期待ください。
寿命遺伝子が長寿をもたらす。
センチュウやショウジョウバエといった生物では,寿命に影響をおよぼす「寿命遺伝子」が発見されている。実はヒトも同じ遺伝子をもっていることがわかっている。日本のある研究者は,センチュウの寿命遺伝子を操作することで,通常の1.5倍も長生きさせることができた。これをヒトにあてはめた場合,ヒトの最大寿命を120歳とすると,その1.5倍として180歳まで生きられることになる。平均で2.3倍も長生きさせることに成功した研究者もいる。その場合,ヒトの寿命は200歳をこえる。
2001年8月には,寿命遺伝子はヒト4番染色体にあることが確認された。同時に行われた調査によると,身内に長寿者がいると,いない場合にくらべて91歳以上生きる可能性が4倍も高くなるという。
長寿には,遺伝的な要因がきわめて大きくかかわっている可能性がある。ならば,寿命遺伝子にはたらきかける薬や医療手段があれば,ヒトの寿命はのばすことが可能になるのではないか。世界の科学者たちはそう考え,研究にしのぎをけずっている。
クローンで若返りの奇跡がおきた。
寿命遺伝子の操作でヒトの寿命をのばすことができても,もし臓器などが何らかの原因で致命的な損傷を受ければ,命はそこで尽きてしまう。
アメリカ,マサチューセッツ州にある「アドバンスト・セル・テクノロジー社」は,クローン技術で世界の最先端をいくバイオ企業である。この企業は1999年春,老化した細胞から6頭のクローン牛を誕生させた。このクローン牛の細胞を調べたところ,細胞の「テロメア」とよばれる部分が,通常の牛とくらべて2倍の長さにのびていることが確認された。
テロメアは細胞分裂のたびに短くなり,一定以上短くなるとその細胞は死をむかえる。テロメアの長さは老化や余命の指標となっている。
クローンでテロメアの長さをもどせるという発見は,画期的なものだった。もしクローン技術で患者の細胞から臓器をつくることができれば,免疫の拒絶反応を心配することなく臓器移植を行うことができる。アドバンスト・セル・テクノロジー社は,まさにこの事業化をめざしている。
今回の記事では,Newtonはアメリカの複数の研究機関を取材する。アドバンスト・セル・テクノロジー社にも話しを聞き,読者の皆さんに最新情報をお届けする予定である。
がん克服にむけた四つのキーワード
通常の細胞とは逆に,何度分裂しても死ぬことのない細胞が「がん」である。パート2では急速に進むがんの治療方法を,アメリカの取材をまじえて紹介する。
Newtonでは,がん治療のキーワードとして次の四つを中心に取材を行う予定である。すなわちがんの「薬剤療法」「遺伝子治療」「免疫療法」「放射線療法」である。
がんの薬剤療法は,がん細胞がもつ増殖のしくみなどにターゲットをしぼった療法である。たとえば,がん細胞は酸素や栄養を得るために,周囲の血管を腫瘍の中に引きこんでいる。その血管新生という現象をさまたげる薬剤ができれば,がんの息の根をとめることができる。アメリカ,ハーバード大学のラケシュ・ジェイン教授の研究室では,がんの血管新生に関する阻害剤の開発が進んでいる。
遺伝子の変異などによって,ヒトの正常細胞はがん化することが知られている。がんは遺伝子の病気である。遺伝子治療が有効な医療手段となることは想像にかたくない。日本ではすでにがん抑制遺伝子p53を用いた肺がん治療などが行われている。
がんの遺伝子情報は,がんの発生予測すなわち予防診断にもつながる。「遺伝子情報によると,あなたが今後10年間でがんにかかる可能性は,何%である」といった診断である。その解析に有効と考えられているのが「DNAチップ」である。アメリカ,アフィメトリクス社は,がんなどの発生予測を可能にするDNAチップの開発で世界の最先端をいく企業である。
がんの免疫療法とは,がん細胞と免疫システムにかかわる細胞を融合させるなどして,がんを攻撃させる方法である。すでにアメリカでは,マウスでの実験に成功するなどの成果をおさめている。
がんの放射線療法で注目を集めているのが,放射線の「3次元照射」である。高齢で手術ができないといった患者の場合,従来は「重粒子線」という電子より重い粒子を高速に加速した治療法が脚光をあびていた。3次元照射はそれと同様の効果で,費用は格段に安いという特徴をもっている。
日本では今3人に1人ががんで亡くなっている。多くの人にとって,がんはさけて通ることのできない病気である。
創薬は現代の錬金術
パート3では,難病から身近な病気まで,多様な病気で導入が進む最先端の医療を紹介する。
アメリカにあるファイザー社の広報担当官は,「すべての病気に関する治療薬を研究している」と語る。Newtonはこの本社も取材し,今後の薬の開発戦略などを聞く予定である。病気の薬の開発は「現代の錬金術」とよばれている。たとえば,貧血治療のある薬は,同じ重さの金の約4万8000倍の値段をつけるという。まさに新薬の開発は金をつくりだす所業に等しい。
いまだ原因さえもわからないアルツハイマー病は,人類が不老長寿を手にするために,ぜひとも克服しなければならない病気である。表面的に若さを保つことができても,脳がはたらかなくなっては長寿の意味がないからである。こうしたことについても最新の情報をお届けする。
日本の住友電気工業は,毛髪をつくる細胞組織自体を再生する物質の開発に成功した。変化の大きな波が,身近な部分にまでおよんでいることがわかる。
不老長寿はいかにして実現されるのか。創刊250号では,医療に大変革をもたらす最先端技術の数々を紹介する。
主な内容
PART1 不老長寿のテクノロジー
ヒトの若さをいつまでも保つ究極の医療方法
●ヒトは200歳まで生きられる─不老長寿を実現させる夢の医療技術
●ヒトはなぜ老化するのか
●一人一人に合ったテーラーメイド医療はこうして実現する
●どんな細胞にも変化する万能細胞の驚異的な可能性
●人体組織をつくりだす夢の再生医療
●異常遺伝子を正常遺伝子におきかえる理想の遺伝子治療
●今後約20年で実現する「不老長寿のテクノロジー」予測
PART2 がん治療の最前線
四つのキーワード「薬剤」「遺伝子」「免疫」「放射線」
●がんの特徴である血管新生をさまたげる画期的な薬
●患者ごとにちがう抗がん剤の効き目を遺伝子レベルで知る
●がん細胞に自殺を命じるがん抑制遺伝子の効果
●免疫の司令塔「樹状細胞」が出すがん細胞への攻撃命令
●低コストで放射線をがん細胞へ集中させる3次元照射法
●将来のがん発生予測を可能にするDNAチップ
PART3 最先端医療で病気はここまで治る
アルツハイマー病から身近な病気まで
●すべての病気を研究するアメリカ,製薬企業の創薬戦略
●効果が短期間にあらわれ,長つづきするDNAワクチンの花粉症治療
●無精子症の男性でも精巣の細胞から精子を培養できる
●深刻化するアルツハイマー病やそううつ病治療の最新情報
●血栓をレーザーで焼き切るマイクロマシン
●ヒト遺伝子を組みこんだブタのすい臓細胞でつくる人工すい臓
●食べる医薬品─高血圧などの予防作用をもつイネを収穫
●口の粘膜から眼の角膜が再生する
●虫歯の患部をとかすことで無痛治療を実現
●失われた発毛細胞を再生する世界初の発毛剤
●粘膜ワクチンで病原体の侵入をシャットアウト
●患者の生活自立に貢献する完全埋めこみ式の人工心臓
●電池不要。錠剤状の「飲むカメラ」で体内撮影
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