次号予告

 

 

 

分子の特性から,排出量を削減する方法まで――。

CO2を徹底特集

  温室効果ガスの排出が今後も同じようにつづけば,21世紀には世界の気候に多くの変化がおきると予測されています。


  われわれが排出する温室効果ガスのうち最大の影響をもつとされているのが,二酸化炭素(CO2)です。しかし,CO2の排出に対してとるべき方策は,まだはっきりとは示されていません。それは今まさに,政府や科学者が検討している最中であり,今後は産業界や私たち自らも参加してともにつくりあげていくものだといいます。


  次号のNewton Special では,このCO2を徹底特集します。どのようにして地球温暖化や海洋酸性化を引きおこすのか? どんな削減方法があるのか? いま必要とされている情報をわかりやすく紹介します。

   

冷やしたり,飲んだり……日常で役に立っているCO2

 

  二酸化炭素(CO2)と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。大気や私たちがはき出す呼気の中に含まれていますが,無色の気体なので意識することはないでしょう。はっきりとその姿が認識できるのは,固体の姿です。CO2は1気圧ならマイナス79度Cで固体になります。これが,食品などを冷やすために使う「ドライアイス」です。


  もう一つCO2の身近な例を紹介しましょう。炭酸飲料です。炭酸飲料には,CO2が溶けこんでいます。CO2は水に溶けやすいという性質をもっていて,水が冷たいほどよく溶けます。ぬるい炭酸飲料に爽快感がないのは,溶けていたCO2が抜けでてしまったためなのです。


  CO2は,一つの炭素(C)をはさむように,二つの酸素(O)が結合した分子です。原子どうしは直線状にかたく結合しているため,ほかの原子が割りこむことはできません。このため,CO2が単独でいる場合には,ほかの物質と反応しにくく,高温で熱しても燃えたり分解したりすることはほとんどないといわれています。ただし,水中や生物の中ではCO2は反応し,分解されてほかの物質の一部となります。この性質は,地球温暖化や海洋酸性化の問題と大きくかかわっています。


  また,現在,問題になっているCO2のほとんどは燃焼の“副産物”です。石油や石炭といった化石燃料には,炭素が含まれています。このような物質を燃やすと,炭素が大気中の酸素と結合して,CO2が発生するのです。

なぜCO2がふえると温暖化する?

 

  地球が適度にあたたかい理由は,大気があるからだといわれています。地球の表面からは,宇宙に向かって「赤外線」が放たれています。もし大気がなければ,赤外線はそのまま宇宙へと逃げていき,その結果,地球の平均気温はマイナス18度Cくらいになるといわれています。


  この赤外線を“つかまえる”のが,大気中の水蒸気(水分子)やCO2などです。赤外線が逃げていかないのでちょうど地球に毛布をかぶせたような状態になり,あたたかさが保たれます。大気中には,CO2よりも数多くの酸素分子や窒素分子が存在していますが,これらは赤外線をつかまえることができないので地球をあたためる効果はありません。赤外線をつかまえるしくみについては,特集でくわしく図解します。


  大気中にCO2がふえると,赤外線を吸収できる分子がふえるため,赤外線を大気中により長くとどめることができます。これが,今おきている地球温暖化のメカニズムだと考えられています。水蒸気も地球をあたためる効果はありますが,人間の活動によってその量が増減しにくいため,今のところ問題とはみなされていません。

どうすれば大気中のCO2を減らせるか

 

  2009年12月に,デンマークのコペンハーゲンで,「気候変動枠組み条約に関する国際会議」(COP15)が開かれました。世界各国は今,CO2排出量をめぐってにらみあっています。


  実際にCO2排出を削減することは可能なのでしょうか? 実は,日本では,2050年までに70%削減することが可能だという試算が出されています。やろうと思えば,方法はあるのです。特集では,産業,自動車,家庭,発電などでとりうる対策を紹介します。


  また,もともと地球がもっている,大気中のCO2を貯蔵する能力を利用しようという研究も進められています。地下に貯留する技術や生物を使った吸収がその一例です。また,長い歴史の中で,地球のCO2濃度は今より数千倍も高かった時代がありました。どのようなしくみがはたらいてCO2濃度を近代のレベルまで下げることができたのか――その答をヒントにすることで,科学者たちはCO2を削減する画期的な手法の確立にいどんでいます。

  次号のNEWTON SPECIALは,「CO2」のすべてを特集します。ご期待ください。

 

【協力

加藤泰浩 東京大学大学院理学研究科教授
三枝信子 国立環境研究所地球環境研究センター陸域モニタリング推進室長
中澤高清 東北大学大学院理学研究科教授
濱 健夫 筑波大学大学院生命環境科学研究科教授
藤野純一 国立環境研究所地球環境研究センター主任研究員
緑川 貴 気象研究所地球化学研究部第二研究室室長

ほか

 







 

 

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